五月病になりやすい人はどんな人ですか?
という質問を頂きましたので、五月病になりやすい人の特徴を10個紹介します。
①環境の変化があった人
環境の変化と心身のストレスは密接に関連しています。
新しい環境に適応しようとするとき、私たちの心と体はさまざまな反応を示し、それがストレスとして認識されます。
環境の変化が心身にストレスを与えるメカニズムについては、次を参考にしてください。
1.予測可能性の低下とコントロール感の喪失
慣れない環境では、何が起こるか予測しにくく、自分の行動がどのような結果をもたらすか見通しがつきにくくなります。
この予測不可能性は、私たちのコントロール感を低下させ、不安や焦りを引き起こします。
人間は、状況をある程度コントロールできると感じることで安心感を得るため、それが失われるとストレスを感じやすくなります。
2.新しい情報の処理と学習への負荷
新しい職場や学校では、新しいルール、人間関係、業務内容、学習内容などを覚え、慣れる必要があります。
この膨大な情報の処理と学習は、脳に大きな負荷をかけ、精神的な疲労を引き起こします。
常に新しいことに対応しようとすることで、脳がオーバーヒート状態になり、心身のエネルギーを消耗します。
3.人間関係の変化と再構築の努力
これまでの安定した人間関係がリセットされ、新しい人間関係をゼロから築き直す必要があります。
相手の性格や考え方を探り、自分の役割を理解しようと努めることは、非常に神経を使う作業です。
特に、人見知りや内向的な性格の人にとっては、このプロセスが大きなストレス源となります。
4.役割や期待の変化
進学や就職、昇進などによって、自分に求められる役割や責任、周囲からの期待が変化します。
この新しい役割に適応しようと頑張りすぎたり、期待に応えられないことへのプレッシャーを感じたりすると、心身に負担がかかります。
5.セリエのストレス学説(汎適応症候群)
ハンス・セリエは、ストレスに対する生体の非特異的反応として「汎適応症候群 (GAS: General Adaptation Syndrome)」を提唱しました。
これは、ストレス源(ストレッサー)の種類にかかわらず、身体が特定の段階を経て反応するというものです。
警告反応期:
ストレスに直面した初期段階。
心身がストレッサーに適応しようと警戒し、交感神経が優位になり、心拍数増加、血圧上昇などの身体反応が起こります。
抵抗期:
ストレスが継続する中で、心身がそのストレスに適応しようと抵抗力を高める段階。
一時的に症状が軽減されたように感じたり、無理が効くようになることもあります。
疲弊期:
抵抗期が長く続き、心身のエネルギーが枯渇してしまう段階。
適応能力が限界に達し、様々な心身の不調(疲労、倦怠感、うつ症状、病気など)が現れます。
環境の変化というストレッサーが持続的に作用することで、この疲弊期に至り、五月病のような症状が現れると考えられます。
6.個人差と認知評価
同じ環境の変化であっても、それをどのように捉えるか(認知評価)によって、ストレスの感じ方は大きく異なります。
「新しい挑戦の機会だ」とポジティブに捉えられる人はストレスを感じにくい一方、「失敗したらどうしよう」とネガティブに捉える人は、より強いストレスを感じやすくなります。
また、ストレスに対する個人のストレス耐性やコーピング(対処)スキルも、心身への影響を左右します。
②新しい環境への適応が苦手な人
①で環境の変化があった人と紹介しましたが、環境の変化があった人全員が五月病になるわけではありません。
環境の変化をポジティブに捉えられる人は、新しいチャレンジや機会と捉えて五月病になりにくい人もいます。
ただその一方で、新しい環境に適応することが苦手な人は、慣れない環境でエネルギーを消費しやすく、五月病になりやすい傾向があるものです。
『適応しなければいけない』という意識が強いと慣れない環境に無理に溶け込もうとし、五月病になりやすくなってしまいます。
必要以上に無理に溶け込もうとせず、全員と仲良くする必要はないと認識するだけでも少しは気がラクになるのではないでしょうか?
③真面目で完璧主義な人
日本人は真面目で優秀な人が多い一方で、その真面目さが五月病になりやすい傾向もあります。
真面目で完璧主義な人がストレスを抱えやすい主な理由は以下の通りです。
1.過剰な自己期待とプレッシャー
完璧主義者は、自分自身に対して非常に高い基準を設定します。
常に「もっとできるはず」「完璧でなければならない」という自己期待が強く、これが内的なプレッシャーとして常にのしかかります。
結果として、常に自分を追い込み、リラックスする時間や精神的な余裕が失われやすくなります。
2.失敗への過度な恐れと自己批判
完璧でないことを許容できないため、失敗やミスを極端に恐れます。
小さなミスでも、自分を激しく責めたり、自己評価を著しく下げたりすることがあります。
「これで本当に大丈夫だろうか」「もっと何かできるはずだ」といった反芻思考(同じことを何度も繰り返し考えること)に陥りやすく、精神的な疲労が蓄積します。
3.時間管理の困難と過労
一つ一つのタスクに時間をかけすぎ、細かい部分にこだわりすぎてしまうため、効率が落ちたり、必要以上に時間がかかったりします。
結果として、仕事や学業が終わらずに残業や徹夜が増え、睡眠不足や休息不足に陥りやすくなります。
これは身体的な疲労とストレスを直接的に増加させます。
4.他者への期待と人間関係のストレス
自分だけでなく、周囲の人々にも高い基準を求めてしまうことがあります。
そのため、他者の仕事ぶりや行動が完璧でないと感じると、イライラや不満を抱きやすくなります。
また、「周りの期待に応えなければならない」という思いが強く、人からの評価を気にしすぎることで、人間関係においても緊張状態が続き、ストレスを感じやすくなります。
5.休むことへの罪悪感
「休んでいる間にもっとできることがある」「休むのは怠けていることだ」といった考え方から、心身を休ませることに罪悪感を抱きやすいです。
そのため、意識的に休息を取ろうとせず、心身の回復が遅れ、疲労やストレスが慢性化しやすくなります。
6.燃え尽き症候群(バーンアウト)のリスク
常に完璧を目指し、努力し続けることで、心身のエネルギーを消耗し尽くしてしまいます。
ある日突然、急激な無気力感や疲労感に襲われ、何もできなくなる「燃え尽き症候群」に陥るリスクが高いとされています。
真面目で完璧主義な性格は、一方で常に「完璧でなければならない」という自己への厳しい要求と、失敗への恐れを抱え込んでいる傾向が強く、心身に継続的なストレスを与えやすいのです。
このタイプの人が健やかに過ごすためには、「適度な妥協」や「完璧でなくても良い」という考え方を受け入れることや、適度な休息が非常に重要になります。
④責任感が強い人
真面目で完璧主義な人に近いですが、責任感が強い人も五月病になりやすい傾向があります。
責任感が強い人が五月病になりやすい理由は、次の通りです。
1.「自分がやらなければ」という過度な負担感
責任感が強い人は、「この仕事は自分が最後までやり遂げなければならない」「この問題は自分が解決しなければならない」という強い使命感を抱きがちです。
他の人に任せることや、助けを求めることに抵抗を感じるため、抱え込みすぎてしまい、結果として一人で過剰な業務量や精神的負担を背負い込みます。
2.完璧主義との連動
責任感の強さは、しばしば完璧主義と結びつきます。「責任を果たすためには、完璧な結果を出さなければならない」と考える傾向があります。
これにより、前述の完璧主義がもたらすストレス(過剰な自己期待、失敗への恐れ、時間管理の困難など)も同時に発生し、ストレスが倍増する可能性があります。
3.休むことへの罪悪感と過労
真面目で完璧主義な人と同じく、
「自分が休んだら周りに迷惑がかかる」
「責任を全うできていない」
といった罪悪感から、心身が疲れていても休むことを躊躇しがちです。
責任感が強いことは周囲の信頼も得られ、とても良いことでしょう。
しかし、責任感が強いことと自分で何でもやろうとして、他者に任せないことは違います。
周りの方と協力し、自分で全てやろうとしないことも、心身のストレスを軽減して五月病になりにくくするために必要でしょう。
4.協調性の欠如
責任感の強さが行き過ぎると、他人に仕事を任せられなくなり周囲との協力関係が築きにくくなることもあります。
こうなってしまうと結果的に自分一人で全てを背負い込むことになり、チームで働く環境では、仕事が非効率的になってしまいかねません。
周囲からの孤立感を感じる原因にもなるでしょう。
5.結果への過度な執着とプレッシャー
自分の行動や決定がもたらす結果に対して、非常に強く責任を感じます。
期待通りの結果が出なかった場合や、問題が発生した場合に、自分を過度に責めたり、精神的な落ち込みが大きくなったりします。
「失敗は許されない」というプレッシャーが常に心の中にあるため、常に緊張状態にあり、リラックスしにくい傾向があります。
6.燃え尽き症候群のリスク
真面目で完璧主義な人と同じく、責任感の強い人も燃え尽き症候群になりやすい傾向があります。
自身の限界を超えても責任を果たそうとし続けることで、最終的には心身が機能しなくなる状態に陥る可能性が高くなります。
⑤周りに気を使いすぎる人
優しい人、自己犠牲の考えが強いなどで周りに気を使いすぎる人も、五月病になりがちな傾向があります。
以下が、このような方が五月病になりやすい要因です。
1.本音と建前の使い分けによる精神的疲労
周りに気を使いすぎる人は、自分の感情や意見を抑え、相手に合わせて振る舞うことが多くなります。
特に新しい環境では、「良い人だと思われたい」「嫌われたくない」という気持ちが強く働き、本音と建前を常に使い分ける必要が生じます。
この心理的な負担は非常に大きく、心身に蓄積されていくと、やがて疲弊してしまいます。
- 過剰な気配りとエネルギーの消耗
新しい環境では、人見知りや内向的な性格でなくても、相手の性格や考え方を探り、どう接するべきかを常に考えます。
気を使いすぎる人は、さらに一歩踏み込んで、相手の表情や言葉のニュアンスから感情を読み取ろうとしたり、先回りして行動しようとしたりします。
この過剰な気配りは、膨大な精神的エネルギーを消費し、日々の生活で疲れやすくなります。
3.断れない性格による負担増
頼まれごとを断ることが苦手なため、自分のキャパシティを超えても引き受けてしまいがちです。
これにより、業務量やタスクが増え、時間的・精神的な余裕がなくなってしまいます。無理をして引き受けた結果、期待に応えられないとさらに自己嫌悪に陥る悪循環に陥ることもあります。
周りの方を大切にし、配慮することはとても素晴らしいことです。
ただ、同時に自分自身のことも大切に扱ってあげると、五月病を防ぎやすくなるでしょう。
⑥ 悩みを話すこと苦手な人
悩みを話すことが苦手な人も、心身の疲労が溜まりやすく五月病になりやすい傾向があります。
以下に、悩みを話すことが苦手な人が五月病になりやすい理由をまとめました。
- ストレスの蓄積と解消機会の喪失
悩みを話せない人は、問題や不安を心の中に抱え込んでしまいがちです。
話すという行為は、自分の感情を整理し、客観視する機会を与え、精神的なカタルシス(浄化作用)をもたらします。
それができないと、ストレスが解消されずにどんどん蓄積され、精神的な圧迫感が増していきます。
特に新しい環境では、慣れないことによるストレスが常に発生するため、その影響はより大きくなります。
- 孤独感と孤立の深まり
悩みを共有できないことで、「自分だけが苦しんでいる」「誰にも理解してもらえない」という孤独感を強く感じやすくなります。
特に新生活では、まだ親しい関係の人が少ないため、その孤立感がさらに深まることがあります。
この孤独感は、精神的な健康を損なう大きな要因となります。
- 問題解決の遅れと悪循環
他人に相談することで、自分では気づかなかった解決策や視点が得られることがあります。
また、アドバイスがもらえなくても、話すことで問題が整理され、自分自身で解決の糸口を見つけるきっかけになることもあるでしょう。
悩みを話せないと、これらの機会が失われ、問題が長引いたり、悪化したりする可能性があります。
これにより、さらに大きなストレスがかかり、悪循環に陥りやすくなります。
4.サポートシステムへのアクセスの欠如
悩みを話せない人は、周囲のサポートを求めることが苦手です。
友人、家族、職場の同僚や上司、専門のカウンセラーなど、本来頼れるはずのサポートシステムに自らアクセスできないため、いざという時に助けを得られず、問題が深刻化しやすい傾向にあります。
『話す』ことは、『離す』ことにも繋がり、ストレスを離すきっかけにもなります。
信頼できる知人、電話や通話アプリ越しの見知らぬ人など関係値を問わず、とにかくお話しをしてみると気が紛れるのではないでしょうか?
必要以上に自分で抱え込まず、話をしてみるだけでもフッと心が軽くなることもありますよ。
⑦自己肯定感が低い人
自己肯定感が低い人は、新しい環境の変化やそれに伴うストレスに対して心の回復力が十分に働かず、ネガティブな感情に囚われやすい傾向があります。
以下に、自己肯定感が低い人が五月病になりやすい主な理由をまとめました。
- 変化への不安と自信のなさ
新しい環境では、未経験のことや不慣れな状況に直面することが多くなります。
自己肯定感が低い人は、このような変化に対して「自分にはできない」「失敗するのではないか」といった強い不安や自信のなさを感じやすい傾向があります。
この不安感は、新しい一歩を踏み出す上での大きな心理的障壁となり、ストレスを増幅させます。
- 失敗への過度な恐れと自己批判
「完璧でなければ価値がない」「失敗したら周りから見放される」といった思い込みが強く、小さな失敗でも過度に自分を責めたり、自己嫌悪に陥ったりします。
新しい環境では、慣れないためにミスをすることや、思うようにいかないことも当然あります。
この時、自己肯定感が低いとその度に深く落ち込み、立ち直りに時間がかかってしまうでしょう。
- 他者との比較による劣等感
新しい環境では、周囲の優秀な人や、すぐに適応しているように見える人と自分を比較しがちです。
自己肯定感が低いと、「自分は劣っている」「みんなはできているのに、なぜ自分だけできないのだろう」といった劣等感を強く感じ、それがさらなる自信喪失や気分の落ち込みに繋がります。
SNSなどで他者の「良い面」だけを見て、自分と比較してしまうことも、劣等感を深める原因となります。
- ポジティブな経験を認められない
たとえ成功したり、褒められたりしても、「たまたまだ」「運が良かっただけだ」などと、自分の成果を素直に認められない傾向があります。
これにより、本来であれば自己肯定感を高めるはずの経験が、心の栄養となりにくく、前向きな気持ちになりにくいです。
- 人間関係における不安と受け身な姿勢
「嫌われたくない」「相手にどう思われるか」という不安が強く、自分の意見を言えなかったり、相手の顔色をうかがいすぎたりすることがあります。
これにより、本音でコミュニケーションが取れず、表面的で疲れる人間関係になりがちです。
また、相手から否定的な反応があった場合、それが自分の価値を否定されたように感じ、深く傷ついてしまいます。
- 休息や助けを求めることへの抵抗
「自分は休む価値がない」「弱みを見せたくない」といった思いから、心身が疲弊していても休息を取ることや、誰かに助けを求めることをためらいがちです。
これにより、ストレスや疲労が蓄積し、心身の限界を超えてしまうリスクが高まります。
⑧ネガティブ思考な人
ネガティブな人は新しい環境での出来事を悲観的に捉えやすく、ストレスを強く感じやすい傾向があります。
物事の悪い面にばかり焦点が当たり、良い面に気づきにくいため、心身の不調に陥りやすく、五月病になりやすいと言われています。
ネガティブな人が五月病になりやすい理由は、以下を参考にしてください。
- 問題を過大評価し、解決策を見出しにくい
ネガティブな思考パターンを持つ人は、新しい環境で直面する困難や課題を、実際以上に大きく、乗り越えられないものとして捉えがちです。
そのため、問題に対して建設的な解決策を考えるよりも、
「どうせ無理だ」
「きっとうまくいかない」
と諦めてしまい、無力感や絶望感を感じやすくなります。
これが、ストレスをさらに深める原因となります。
- 小さな失敗を深刻に受け止める
新しい環境では、誰でも小さなミスをしたり、思うようにいかない経験をしたりします。
しかし、ネガティブな人は、そうした小さな失敗や挫折を深刻に受け止め、「自分はダメだ」と自己を責める傾向が強いです。
これにより、自信を失い、さらに行動を起こすことへの意欲が低下します。
- ポジティブな側面や成功体験に気づきにくい
物事をネガティブに捉える傾向があるため、たとえ状況が好転したり、小さな成功を収めたりしても、それを素直に喜んだり、自分の力として認めたりすることが苦手です。
「たまたまうまくいっただけ」「すぐにまた失敗するだろう」などと、ネガティブな解釈をしてしまいがちです。
これにより、自己肯定感を高める機会を逃し、前向きな気持ちになりにくいです。
- 人間関係における不安と誤解
「嫌われているのではないか」「自分の発言で相手を不快にさせたのではないか」などと、人間関係においてもネガティブな方向に解釈してしまいやすいです。
相手の何気ない言葉や行動も、自分への否定や批判だと受け取ってしまうことがあります。
これにより、対人関係で過度に気を使いすぎたり、不必要な不安を感じたりして、精神的に疲弊します。
- 慢性的な不安感と緊張状態
常に最悪の事態を想定したり、先のことを悲観的に考えたりするため、慢性的な不安感や緊張状態に陥りやすいです。
この状態が続くと、脳も体も常に警戒モードとなり、リラックスできる時間が少なくなるため、疲労が蓄積しやすくなります。
- ストレス発散方法の偏りや欠如
ネガティブな思考は、健康的なストレス発散方法を見つけにくくすることもあります。
気分が落ち込んでいると、趣味や運動など、普段は楽しいと感じる活動にも興味が持てなくなり、引きこもりがちになったり、不健康な方法(過食、飲酒など)に頼ったりすることがあります。
⑨感受性豊かな人
感受性が豊かな人は、物事を深く感じ取り、他者の感情にも共感しやすいという素晴らしい特性を持っています。
しかし、その繊細さゆえに、新しい環境でのストレスを通常よりも強く受け止め、五月病になりやすい傾向があります。
以下に、感受性豊かな人が五月病になりやすい理由をまとめました。
- 刺激の過負荷(オーバーロード)
新しい環境は、人、音、情報など、あらゆる種類の刺激に満ち溢れています。
感受性が豊かな人は、これらの刺激を通常よりも強く、深く感じ取ります。
例えば、職場のざわめき、新しい上司の厳しい口調、同僚たちの会話、大量の新しい情報など、一つ一つが脳と心に負担をかけます。
これにより、情報処理能力が飽和状態になり、あっという間に心身が疲弊してしまいます。
- 他者の感情や雰囲気への過剰な同調
感受性が豊かな人は、共感能力が高く、他者の感情やその場の雰囲気を敏感に察知しやすいです。
新しい環境では、まだ関係性が構築されていない中で、周囲の人の感情の動きや職場の見えない空気まで読み取ろうとし、それに過剰に同調してしまいます。
例えば、誰かがイライラしていると、その感情をまるで自分のことのように感じてしまい、気分が落ち込んだり、不安になったりします。
これは、常に神経をすり減らすことになり、大きな精神的負担となります。
- 些細なことへの過剰な反応と反芻思考
人からかけられた何気ない一言や、小さな出来事であっても、感受性豊かな人はそれを深く受け止め、過剰に考え込んでしまう傾向があります。
「あの言葉にはどんな意図があったのだろう?」
「もしかして、私のせい?」
などと、繰り返し反芻(はんすう)し、ネガティブな解釈をしてしまいがちです。
これにより、不安や自己否定感が募り、心が休まる暇がなくなります。
- 境界線の引きにくさ
他者との感情的な境界線が曖昧になりやすい傾向があります。
これにより、他者の問題や感情まで自分の問題のように感じてしまい、抱え込んでしまうこともあるでしょう。
新しい環境では、まだ適切な距離感が掴めないため、この傾向がより顕著になり、必要以上に他者の責任を背負い込んだり、ストレスを吸収してしまったりすることがあります。
- 休息や一人時間の必要性の増大
上記のような理由から、感受性豊かな人は、日常生活で消費するエネルギー量が他の人よりも多くなりがちです。
そのため、心身を回復させるための「質の良い休息」や「一人で静かに過ごす時間」が人一倍必要となります。
しかし、新しい環境ではそのような時間を確保しにくかったり、確保することに罪悪感を覚えたりすることで、疲労が回復せず、五月病へと繋がりやすくなります。
- 自己肯定感の揺らぎやすさ
感受性が豊かなゆえに、周囲の評価や状況の変化に自己肯定感が左右されやすい側面もあります。
新しい環境でうまくいかないことがあったり、他者から少しでも否定的なフィードバックがあったりすると、「自分は価値がない」と感じやすくなり、自信を失いやすいです。
⑩生活リズムが不規則な人
生活リズムが不規則な人は心身の健康を保つ土台が不安定なため、新しい環境で受けるストレスに対して脆弱になりがちで五月病になりやすいです。
以下、生活リズムの乱れと五月病が関連する要素をまとめました。
- 睡眠の質と量の低下
不規則な生活は睡眠の質と量に悪影響を及ぼし、次のような影響が出てしまいます。
十分な睡眠が取れない:
睡眠時間が足りなかったり、寝る時間が日によってバラバラだったりすると、体は十分に休息できません。
睡眠は心身の疲労回復と脳の機能を正常に保つために不可欠であり、これが不足すると日中の集中力や判断力が低下し、小さなミスが増えやすくなります。
自律神経の乱れ:
不規則な睡眠は、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを崩します。
これにより日中もリラックスできず緊張状態が続いたり、夜になっても体が休まらないといった状態になり、心身の不調を招きやすくなります。
- 食事の乱れによる栄養不足・偏り
生活リズムが不規則だと、食事の時間もバラバラになりがちです。
食事内容により、単に栄養素の過不足が体調へ影響することはもちろんあります。
ただ、栄養やカロリーが適切であっても、摂取するタイミングにより体調への影響が異なります。
交代勤務がある場合は、食事時間が変わってくることはやむを得ないですが、そうでない場合は食事の時間帯を同じにすると、体調が整いやすく五月病を防ぎやすくなるでしょう。
栄養バランスの偏り:
忙しさから簡単に済ませられる食事や、偏った食生活になりやすく、必要な栄養素が不足することがあります。
特に、心の健康に重要なビタミンB群やトリプトファン(セロトニン合成に必要)などの不足は、精神的な不調に繋がりやすいです。
トリプトファンは摂取してから16時間後にセロトニンという成分に変化し、このセロトニンが快眠のために重要な役割を果たしています。
つまり、寝る16時間前の、一般的には朝食のタイミングでトリプトファンを摂取すると、快眠に繋がりやすいということになります。
肉、魚、卵や大豆、乳製品やバナナにトリプトファンが含まれていますので、このような食材を朝食で摂取してみてください。
血糖値の不安定化:
食事を抜いたり、急激に血糖値を上げるような食事を摂ったりすると、血糖値が不安定になり、気分のムラや集中力の低下を引き起こすことがあります。
食事の際は、食物繊維やタンパク質から先に食べ、血糖値を上げやすいご飯やパンなどを後から食べるのが良いでしょう。
- ストレス耐性の低下
睡眠不足や栄養不足は、身体的な疲労を蓄積させ、ストレスに対する体の防御機能(ストレス耐性)を低下させます。
健康な心身はストレスを跳ね返す力がありますが、生活リズムが乱れていると、その力が弱まります。
結果として、新しい環境からのわずかなストレスであっても、過剰に反応してしまい、心身の不調を引き起こしやすくなります。
- 感情のコントロールが難しくなる
睡眠不足や栄養不足は、脳の機能、特に感情を司る大脳辺縁系や前頭葉などの部分に影響を与えます。
イライラしやすくなったり、落ち込みやすくなったりと、感情のコントロールが難しくなることがあります。
これにより、周囲との摩擦が生じやすくなったり、ネガティブな感情から抜け出しにくくなったりします。
- ポジティブな活動への意欲低下
生活リズムが乱れると、体力が低下し、精神的な余裕も失われます。
趣味や運動など、普段であればストレス発散になるようなポジティブな活動への意欲が低下します。
結果として、ストレスを解消する機会が失われ、不調が慢性化しやすくなります。
- 新しい環境への適応困難の増大
新しい環境に適応するには、多くのエネルギーと精神的な安定が必要です。
不規則な生活リズムは、この適応に必要なエネルギーと安定性を奪ってしまいます。
新しい情報の吸収やそれを通じた人間関係の構築、新しい業務をこなすといったタスクが、心身の不調によってさらに困難になりかねません。
これによって、ストレスが増大することがあります。
規則正しい生活は、これらのストレスへの耐性を高め、心身の調子を安定させる基盤となります。
まとめ
五月病になりやすい人はどんな人ですか?
という質問に、10通りの回答をさせて頂きました。
五月病という名前は医学的な病名ではありませんが、この時期は新しい環境への適応に伴うストレスが原因で、精神的・肉体的な不調が現れることが多いです。
五月病は誰にでも起こる可能性があります。
症状が長引いたり、日常生活に支障が出るようであれば、早めに心療内科や精神科などの専門機関を受診することも検討してください。
無理をせず、自身を労わるようにしてあげたいですね。