「花粉症に効く食べ物を教えてください」の質問に10種の食材を回答します

『花粉症対策に効く食べ物を教えてください』

という質問を頂きました。

花粉症が辛い方にとって、食べ物によるアプローチで薬のように効くと感じるのは、正直に申し上げて難しいです。

ただ、薬のような即効性はなくとも、日々の食習慣を改善することによって体質改善を行い、花粉症の症状を和らげることは期待できます。

言われると薬のようなイメージを持たれるかもおすすめ食材を10種類紹介します。

1:ヨーグルト

ヨーグルトは善玉菌の一種である乳酸菌が豊富であり、乳酸菌は腸内環境を整えます。

腸内環境を整えて善玉菌が活性化すると、免疫力向上に繋がります。

この免疫力向上が、花粉症に過敏な万能をすることを抑制する効果が期待できるのです。

ただ注意点として、ヨーグルトも含めて乳糖不耐症の方は無理にヨーグルトを食べないようにしましょう。

特に、ヨーグルトを食べることでなんとなく体調がイマイチだと感じる方やお腹を下してしまう方は、ヨーグルトが身体に合ってない可能性が高いです。

食材や栄養素の観点からではなく、あくまでもご自身の体調を確認したうえでで、ヨーグルトを食べるか控えるのかを判断するようにしたいですね。

2:きのこ類

きのこ類は食物繊維が特に豊富であり、食物繊維は善玉菌のエサになってくれるので腸内環境を整えることに役立ちます。

エサになる食物繊維があることで善玉菌が活発に活動するため、花粉への過敏な反応を防ぎ、花粉症の改善につながります。

きのこから食物繊維を摂ろうとする際、特定の種類だけに偏らないように注意しましょう。

食物繊維には『水溶性食物繊維』と『不溶性食物繊維』の2種類があり、それぞれをバランス良く摂取することが大切です。

以下、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の、花粉症に関連性の高い主な役割と食材をまとめました。

●水溶性食物繊維

主な役割

・ビフィズス菌などの腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える

・便を柔らかくして排便をスムーズにし、便秘を防ぐ

主なきのこ類

なめこ:3.0g
きくらげ:2.9g
えのきたけ:0.3g~1.4g (栽培方法や部位によって変動が大きい)

●不溶性食物繊維

主な役割

・腸内の老廃物・有害物質を絡め取り、便として排出する

・便のかさを増やし、ぜん道運動を促進する

・腸内環境を整える

主な食材

しいたけ(原木栽培):5.1g
あらげきくらげ:4.8g
まつたけ:4.4g
しいたけ(菌床栽培):4.2g
くろあわびたけ:3.9g
えのきたけ:3.5g~3.9g
まいたけ:3.5g
エリンギ:3.4g
なめこ:3.4g
ぶなしめじ:3.0g

※食材100gあたりの食物繊維量

3:青魚

青魚はサバやイワシ、アジ、さんま、まぐろ、ブリなどが主な種類です。

青魚にはオメガ3脂肪酸という必須脂肪酸が豊富に含まれており、このオメガ3脂肪酸は体内で、炎症を促進する物質の産生を抑制する働きがあると言われています。

この炎症を抑える役割が、花粉症の症状を抑えることに繋がります。

中でも青魚に多く含まれる、DHAやEPAといったオメガ3脂肪酸は、抗炎症作用が高いと考えられています。

特に旬の時期は栄養価が高くなるため、季節に合わせて青魚を選ぶと良いでしょう。

4:緑茶

緑茶に含まれる有名な栄養素としてすぐに思い浮かぶのは、カテキンではないでしょうか?

カテキンはファイトケミカルという栄養素の一種なのですが、このファイトケミカルは以下の3つの作用が、主に花粉症対策に関連すると言われています。

・抗アレルギー作用

ファイトケミカルは、アレルギー反応を引き起こす物質の放出を抑制する可能性があります。

ピーマンに含まれるルテオリンは、アレルギーに関わる酵素の働きを阻害すると言われ、

レンコンに含まれるポリフェノール(タンニン、クロロゲン酸)は、免疫の過剰反応を防ぐ働きがあると考えられています。

・抗炎症作用

花粉症による鼻や目の炎症を和らげる効果が期待できる、ファイトケミカルがあります。

中でも柑橘類の皮や筋に含まれるヘスペリジンは、アレルギーによる炎症を抑制する作用を持つとされています。

また、トマトなどに含まれるリコピンは、抗酸化力によって抗炎症作用を発揮すると考えられています。

・免疫調節作用

花粉症の発症は、免疫システムの過剰な反応によって起こります。

本来、有害物質が体内に侵入した際、免疫システムが適切に反応し、有害物質を体外へ排出しようとする役割自体は非常に大切なものです。

免疫システムがあるからこそ、私たちの身体は病原菌が体内に侵入したりガン細胞が体内で作られた際にそれらと戦い、健康を守ってくれます。

ただ、この反応が過剰に起きてしまうと、害ではないものにまで反応してしまい、その例の一つが花粉症となります。

ファイトケミカルはこの免疫バランスを調整する働きを持つと考えられており、

バナナに含まれるファイトケミカルは、免疫のバランスを整え、アレルギー症状を抑える効果が動物実験で示唆されています。

また、キノコ類に含まれるβ-グルカンは、免疫力を高めることでアレルギー症状の予防や改善に役立つと考えられています。

ちなみにファイトケミカルは、花粉症以外にも抗がん作用、血糖値や血圧、コレステロール値の改善・安定化、デトックス作用などの作用もあります。

5:甜茶(てんちゃ)

甜茶にはアレルギー症状の緩和、肥満予防、歯周病予防などの効果があり、花粉症のアレルギーにも有効だと言われています。

甜茶に含まれる甜茶ポリフェノールの一種であるGOD型エラジタンニンには、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの放出を抑制する効果が研究で示唆されています。

これにより、花粉症によるくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状の緩和が期待できるでしょう。

また、甜茶抽出物は、肥満細胞からのヒスタミン遊離を濃度依存的に抑制することがラットを用いた実験で確認されており、

甜茶エキスキャンディーを用いた臨床試験では、通年性鼻アレルギーの症状(くしゃみ、鼻水など)に対して有用であるという結果が報告されています。

さらに別の臨床試験では、甜茶抽出物群において、対照群と比較して鼻の症状が有意に改善され、目や喉についても改善傾向が見られたそうです。

特に、くしゃみ発作、鼻汁、水性分泌量、鼻誘発試験、鼻汁中好酸球数で統計的に有意な改善が認められたとのことです。

甜茶を引用する際の注意点としては、市販の甜茶には、他の茶葉がブレンドされている場合があることです。

カフェインが気になる方は、原材料を確認するようにしましょう。

6:梅干し

おにぎりの具としても人気の梅干しですが、花粉症対策にも有効だと考えられていることをご存知ですか?

梅干しにが花粉症対策に有効とされるのは、次の5つの理由によるものです。

・バリニンによるアレルギー抑制
・植物性乳酸菌による腸内環境の改善
・ポリフェノールの抗酸化作用による炎症抑制
・クエン酸の抗酸化作用による炎症抑制
・クエン酸の疲労回復効果による免疫力の維持や回復

それぞれ詳しく紹介します。

●バリニンによるアレルギー抑制

梅干しの香り成分であるバニリンには、アレルギー反応を抑制する効果が期待されています。

バニリンは免疫細胞からのヒスタミン放出を抑制する可能性が示唆されており、くしゃみや鼻水、目のかゆみ等の花粉症の症状を和らげる効果が期待されています。

摂取量としては、毎日1粒程度の梅干しを摂取することで、花粉症対策の効果が期待できると言われています。

●植物性乳酸菌による腸内環境の改善

植物性乳酸菌は、動物性乳酸菌に比べて、胃酸に強く生きて腸まで届きやすいとされています。

乳酸菌は腸内環境を整える効果があるため、免疫細胞のバランスを調整し、免疫系の過剰な反応を抑える効果が期待できます。

花粉症は、免疫系の過剰な反応によって引き起こされるアレルギー症状の一つです。

特定の乳酸菌(例:植物性乳酸菌K-2)には、スギ花粉による花粉症の予防効果があることも研究で示唆されています。

●ポリフェノールの抗酸化作用による炎症抑制

梅干しには、ポリフェノールやクエン酸などの抗酸化物質が豊富に含まれています。

これらの成分は、炎症を抑える働きがあり、花粉症による粘膜の腫れや不快感を緩和する可能性があります。

●クエン酸の抗酸化作用による炎症抑制

クエン酸にもポリフェノールと同じく、抗酸化作用があります。

また、クエン酸には腸の蠕動運動を促進し、消化を助ける働きがあると言われています。

悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌が活動しやすい腸内環境を整える可能性があることも、花粉症対策としては嬉しいですね。

腸内環境は免疫機能と深く関わっており、腸内環境を整えることがアレルギー症状の緩和に繋がるという考え方があります。

●クエン酸の疲労回復効果による免疫力の維持や回復

クエン酸と聞いて真っ先に思い浮かぶことは、疲労回復ではないでしょうか?

クエン酸の疲労回復効果により体調を整えることで、免疫系のバランスを保ち、アレルギー症状が出にくい体質づくりをサポートすると言われています。

また、クエン酸はキレート作用により、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収を助ける働きがあります。

これらのミネラルは免疫機能の維持にも関わっているため、梅干しに含まれるクエン酸の疲労回復効果により、免疫力が向上して花粉症対策に役立つと考えられています。

7:柑橘類

レモンやみかんなどの柑橘類も、花粉症対策に効果がある食材として期待されています。

花粉症ビタミンCが豊富に含まれており、抗酸化作用があり、ヒスタミンの過剰な放出を抑える働きが期待できます。

柑橘類が花粉症対策として有効とされる成分は、以下を参考にしてください。

・ビタミンC

ビタミンCには抗ヒスタミン作用があり、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を抑制する可能性があります。

ヒスタミンとは、生体内でアミノ酸の一種であるヒスチジンから生成される化学物質です。

末梢、中枢神経系に広く分布する生理活性物質で、炎症やアレルギー反応、胃酸分泌、神経伝達に関与しています。

花粉症の症状もこのヒスタミンが関与しているのですが、柑橘類に豊富に含まれるビタミンCには、抗ヒスタミン作用があるため、花粉症の人におすすめです。

・ノビレチン

ノビレチンは特にみかんの皮に多く含まれる成分です。

柑橘類は皮にも栄養が豊富とよく言われますが、ノビレチンはその中の一つと言えます。

ノビレチンには抗ヒスタミン作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用があり、これらが花粉症対策として有効とされています。

・ヘスペリジン

ヘスペリジンは柑橘類の中でも、レモンや青みかんに多く含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化作用や抗炎症作用があります。

これらの成分が、花粉による過剰な免疫反応を抑制すると期待されています。

・ナリルチン

ナリルチンとは、ポリフェノールの一種であるフラボノイドと呼ばれる成分の一種です。

ナリルチンには、主に次の3つの花粉症対策効果が期待されています。

・ヒスタミンの分泌を抑えてのアレルギー症状の抑制
・抗炎症作用
・免疫調整作用

ナリルチンが含まれる柑橘類には、柚子、かぼす、グレープフルーツなどがありますが、中でも和歌山県北山村特産の『じゃばら』いう柑橘類の皮に、特に豊富に含まれています。

研究によると、ジャバラ果汁の摂取が花粉症の自覚症状を改善する効果もあるそうです。

また、以下は花粉症対策に有効とされる柑橘類です。

湘南ゴールド
じゃばら
温州みかん
青みかん
レモン
グレープフルーツ

8:緑黄色野菜

緑黄色野菜にはビタミンやミネラル、β-カロテンなどが豊富です。

ビタミン・ミネラルやβカロテンは粘膜の保護や免疫機能の調整、抗ヒスタミン作用や抗酸化作用が、花粉症対策に有効とされています。

シソ、ブロッコリー、かぼちゃ、にんじん、ネギ類、トマト、パプリカ、ほうれん草、小松菜、菜の花などが良いでしょう。

9:海藻類

昆布、海苔、わかめ、ひじき、もずくが特にですが、海藻類も花粉症対策効果の期待が高い食材です。

海藻類で花粉症対策に有効とされる成分は、以下を参考にしてください。

・フコイダン

昆布やワカメなどの褐藻類に多く含まれる、ヌメリ成分です。

免疫調節作用、抗炎症作用、粘膜保護作用が花粉症対策として期待できます。

・アルギン酸

フコイダンと同じく褐藻類に多く含まれる成分で、腸内環境の改善に役立ちます。

・ミネラル

ミネラルは免疫系の正常化に、とても重要です。

様々な種類のミネラルがあるため、バランス良く摂取することが特にカギとなります。

・食物繊維

食物繊維はアルギン酸と同様に、腸内環境の改善に役立ちます。

様々な食材から食物繊維を摂取し、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランス良く摂取しましょう。

10:発酵食品

乳酸菌や食物繊維が豊富で、腸内環境を整え、免疫機能の正常化を助ける可能性があります。

納豆、味噌、梅干し、漬物、キムチ、ヨーグルトなどが主な発酵食品ですね。

まとめ:

花粉症対策におすすめとされる食材を10種類、紹介しました。

花粉症対策に有効とされる食材は、主に以下のような成分が役立つと考えられていることとなりますね。

・抗酸化作用
・抗炎症作用
・免疫調整
・腸内環境改善
・粘膜保護
・アレルギー抑制
・疲労回復

これらの食材をバランスよく食事に取り入れることで、花粉症の症状緩和に役立つと期待されています。

ただ、今回紹介したものは全て食品であり、治療効果があるわけではありません。

あくまでも日頃の健康維持やコンディションの向上として、捉えて頂くのが良いでしょう。

食習慣で花粉症を完全に治す考えではなく、医療機関を受診して専門医による現状把握を行なったうえで、主治医と相談しながら改善に取り組むようにしてください。

また、効果には個人差があることだけはご了承頂ければと思います。